今回は人工知能の発明事例が産まれたことと、その人工知能による発明の特許申請が却下されてしまったというセンセーショナルな事例を受けて、考えたことをシェアします。
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目次
人工知能が発明をする時代
2018年にイギリスの物理学者でAI研究者のステファン・タイラーさんが2つの発明の特許を申請しました。
1つは形状を変える食品容器で、液体および固体食品の両方に適していて、梱包材の使用量の削減や、リサイクル可能な生分解性素材で使用出来そうで環境にやさしいという内容のようです。(詳しく知りたい方は、英語文献ですが、参考でリンクを貼っておきます)
もう1つは、直訳すると「強化された注意を引き付けるためのデバイスと方法 」で、読んでもあまり理解出来ませんでした。緊急用懐中電灯のようなものだそうです。
参考:EP3563896 - DEVICES AND METHODS FOR ATTRACTING ENHANCED ATTENTION
ただ、この時点では発明者が空でした。何故かと言うと、発明者が人工知能だったからです。
画像の出典:EspaceNet
これ自身がめっちゃすごいことで、"機械知能のビッグバン"みたいな話になり騒がれており、シンギュラリティ―の萌芽を想起させるに十分で、将来の発明は人ではなく人工知能が行うものという認知をもたらしてくれる事例でした。
2020年時点でAIは発明者になれない
2019年7月にタイラーさんは、この発明者を人口知能のDABUSとして申請をしたのですが、却下されてしまったそうです。
2020年1月28日に欧州特許庁(EPO)は、このときの理由を次のように説明したそうです。
- 自然人の名前と、”もの”に与える名前とは同等ではない
- 非自然人を発明者することは出来ない
さらに追随する形で、つい先日2020/04/27にアメリカ合衆国特許商標庁(USPTO)も「AIは特許出願の際に発明者として登録できない」「発明者になれるのは自然人に限られる」と公式に発表しました。
参考:Petition decision: Inventorship limited to natural persons
発明者がAIである場合、現段階の法ではAIは発明者になれないようですね。
ゆくゆくは人工知能が発明者として認められる?
ここで言う所の「自然人」が疑問になったのでWikipediaさんで調べてみました。
自然人 ( しぜんじん 、 ( 独: Natürliche Person、英: natural person)とは、近代法のもとで、権利能力が認められる社会的実在としての人間のことで、法人と対比されている概念。単に「人」とも言う。
引用元:Wikipedia
法人との対比だけだったらAIも大丈夫そうですが、権利能力が認められるってとこが、現時点では難解なのかもしれません。
とはいえ、この先、自動化がどんどん進んでいくことで、少しづつですがAIにも権利が委譲されていくようになります。このフォルダにアクセスしていいよとか、このWebサイトにアクセスしていいよみたいな感じの権限付けはしていきますよね?今の常識だとこれを超える権利委譲は想像しづらいかもしれません。ですが、この先には人と人工知能が融合していくような進展の仕方をしていくはずなので、人工知能に権利能力が認められる日も来る気がします。攻殻機動隊の世界のような感じで。
研究開発には人工知能を組み込むべき
そういった時代背景において、改めて思うのは、研究開発には人工知能が必須になるということ。
多くの発明は既にあるモノ同士の掛け合わせで産まれます。掛け合わせるものが多いほど、発明の伸びしろがあるわけですが、一昔前と現代とを比較すると、この伸びしろが爆発的に増えているはずです。理由はと言うと、テクノロジーが指数関数的な進展をしており、掛け合わせるモノ自身が次々に産まれてきているからです。
そういう状況下において、これまでと同様に人間の知能だけで発明を試みるのだと、時代の流れについていけないってのは想像するのに難しくありません。私が思うに人間の知能で人工知能に挑む勝負の構図は、竹やりと鉄砲を跳躍して、竹やりと原子力爆弾に進展すると言えるでしょう。
これからの研究には人工知能を担がないといけないということです。そんなこと、みなまで言わなくてもわかっているよと言われそうですがw
おわりに
人工知能の発明について考察しましたが、変化の速さに「え?これからどうなっちゃう?」と不安になるかもしれません。しかし、避けられない現実になると思いますので、前向きに受け止めて活用していくのが吉だと思います。
他にも未来やAIに関する記事を紹介しておりますので、気になった方は観ていってください!
ご閲覧ありがとうございました。
ではでは(^^)/