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何故(Why)を伝えて人を動かすゴールデンサークルの具体事例

2019年3月13日

あなたは、自分が商品を販売する立場となった時に、お客さんにどのように説明しますか?多くの人は他の商品との違い(What)であったり、どのような特徴があるか(How)を説明すると思います。

しかし、多くの場合にこの説明の仕方では顧客は引き付けられず、商品の購入に至らないことが多いでしょう

では、どうすれば顧客の心を掴んで購買行動を引き起こせるかと言うと、説明の順序を変えるだけでそれは可能です。今回は、この説明の仕方としてゴールデンサークルという公式をご紹介していきます。

こんな方におすすめ

  • 販売に悩む営業マンの方
  • 指導力を出したい管理職の方
  • 周りの環境を変えたいと画策している方

ゴールデンサークルとは

ゴールデンサークルとは、人を動かし偉大な功績を残した人達の「考え、行動し、伝える」際の共通点をサイモンシネックさんという方がシンプルにまとめた公式です。

人を動かすときに多くの人は、What⇒Howの順に説明をし、多くの場合はWhyまで説明しないで終わります。

しかし、偉大な功績を残した人たちはこの順番ではなくて、逆にWhy⇒How⇒Whatの順に説明をしていたのです。

なぜWhyで人が動かせるか

Whyから説明をすると人を動かせるかというゴールデンサークルの公式には、生物学的な裏付けがあります。

人の脳の断面図を上からみると大脳新皮質と大脳辺縁系の2つのパートがあることがわかります。それぞれのパートでは司るものが違います。

大脳新皮質(What)の役割と特徴

  • 合理的な分析と思考と言語を司る
  • 大量の複雑な情報を理解できる
  • 機能やメリット、事実、数字など

大脳辺縁系(Why)の役割と特徴

  • 感情、信頼、忠誠心などを司る
  • 人の行動の全ての意思決定を行うが、言語能力はない
  • 直観的な行動はここから行う

我々が、人を動かしたいというときに、働きかけるべきは人の意思決定を司る大脳辺縁系となるわけですが、その理由は大脳辺縁系はWhy(理由)に惹かれるからです。

逆に、「何を(What)」から説明しても、大脳新皮質は意思決定を司っていない為、納得感が足りないというような思いを抱くだけで行動には移らないです。たくさん説明を聞いたけど、「決め手に欠ける」みたいな事を感じたり、聞いたりすることはありませんか?それは理由(Why)で、大脳辺縁系を刺激出来ていなかった為なのです。

Whyから説明する具体例

では、実際にゴールデンサークルを使って具体的に説明すると、どのように訴求力が違ってくるかを例示していきます。

事例1:アップルが成功した理由

アップルは常に進化し続け、競合から常に抜きん出ています。ですが、アップルはいちコンピューター会社であり、エンジニアや製品の質は他社となんら変わりはありませんでした。そんなアップルが何故他社から抜きんでたかというと、製品を売る際に信念・理由(Why)から説明していたからです。コンピューターの売り方を例に説明の仕方の違いをみていきましょう。

一般の企業のコンピューターの売り方(What⇒How)

(What)我々のコンピューターは素晴らしく
(How)美しいデザインで簡単に使えてユーザーフレンドリー
一ついかがでしょうか

アップルのコンピューターの売り方(Why⇒How⇒What)

(Why)我々のすることはすべて世界を変えるという信念で行っています。違う考え方に価値があると信じています
(How)私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品です。
(What)こうして素晴らしいコンピューターができあがりました
一ついかがでしょうか

こうして説明されると、アップルのほうが買いたくなってしまいますよね。

事例2:「なぜ」にフォーカスせずに失敗したTiVo

次にサイモン・シネックさんが説明したわかりやすい例として、Tivoのテレビの例を紹介します。Tivoとは内蔵のハードディスクにテレビ放送を録画する家庭用ビデオレコーダを開発した企業です。開発当時、製品は高性能高品質製品で、資金繰りも極めて良好、市場も彼らに好意的な流れでした。しかし、販売に失敗してしまいます。サイモン・シネックさんはこの失敗を、商品の「何を(What)」を説明してしまったからだと分析します。

何を(What)から説明し、失敗したTivo

Tivoは商品の販売時に、次のような特徴「何を(What)」を説明したそうです。

「放送中のテレビ番組を一時停止することができて、CMを飛ばせる、巻き戻しができる、そして好きそうな番組を勝手に録画しておいてくれる、そんな製品を開発しました」

これを聞いた人々は次のように商品のテレビを疑いました。

「本当にそんなことが出来るのか? そんなものは要らない。気に入らないね。なんだか怖いな」

何故(Why)から説明したら成功していたのではないか

Tivoがもしもそのとき、次のように「Why」を説明していたら商品が売れていたかもしれません。

「自分の人生を自分の手でコントロールしたい、そんなあなたにぴったりの製品を開発しました。あなたが今見ている生放送中の番組を一時停止したり、CMを飛ばしたり、好きな番組を勝手に録画してくれる……」

同じ商品を説明する場合でも、説明の仕方で反応が変わります。人は「何を」ではなく「なぜ」に惹きつけられます。

事例3:「信念」から説明して状況を逆転させたPIP-Maker

最後に私の仕事の中で、ゴールデンサークルのノウハウで悪い状況を好転させる場面がありましたので事例としてご紹介します。

前職ですが、PowerPointのドキュメントを動画に変換するサービスPIP-Makerを提供している4colorsさんと協業していました。当時、このPIP-Makerのサービスを提供している先の社内担当者が人事異動で入れ替わることになり、入れ替わった担当者さんがこのPIP-Makerの利用を取りやめようとしていました。

4colorsの加山さんは、この担当者さんに次のような説明をしました。

状況を逆転させた説明内容

(Why)

「1秒で膨大と増える情報に対して、人の数は比例して増えない。」現在、国内情報量(TV、インターネット、新聞、出版、パッケージソフト等)が1日に流通する億単位の量に対して人が消費する量は、たった0.003%しかありません。これは、人が1日に触れることができる情報量が限られていることを意味しています。情報が氾濫すればするほど、産業すべてにおいて、伝える需要が高まると確信しております。

(How)
だからこそ当社は、この問題に挑戦すべく 誰でも簡単に伝える力を高めることができるコミュニケーションの道具を提供しているのです。

(What)
PIP-Makerではアバターが説明するという伝達力の高い動画を、Powerpointから手軽に生成が出来ます。

このサービスを使うことで、情報伝達において他社をリードしませんか。

4colorの加山さんがこの説明した後に担当者さんの意見は180度変わり、サービスを廃止するのではなくて、積極的に社内で使おうという話に代わりました。

実はゴールデンサークルのノウハウはこの説明の後に、加山さんから教わったものです。

この時に、説明の仕方はビジネスにおいて非常に効果的であることを実感しました。

まとめ

まとめます

まとめメモ

  • 人を動かし、偉大な功績を残してきた人達には共通点がある
  • 共通点は「考え、行動し、伝える」際に「何故(Why)」から始めることである

ゴールデンサークルの考えを用いると、常識をひっくり返したいときにも使えるとされています。皆さんも周りを変えたいときは是非「Why」を大切にしていきましょう!

私の説明で、伝わりにくかったかもしれないので、サイモン・シネックさんの動画を張り付けておきます。

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ご閲覧ありがとうございました
ではでは(^^)/

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