紙の本が簡単に出版できる世の中になりました!
先日、Kindleで「健康の常識を新陳代謝しよう!」という本を出版し、さらにこの英訳版「Let's metabolize common sense of health」を世に送り出しましたが、タイムリーなことに、2021.10.19にKindle ダイレクト・パブリッシング(以下、KDP)にて、書籍の紙版の出版が可能となるペーパーバックというサービスが始まったので、早速紙版でも出版をしてみたので、この状況をご報告します。
こんな方におすすめ
- Kindleで本の出版を考えている方
- ブログ記事から本の出版を考えている方
- Kindleに出版した本を英訳して海外出版を狙っている方
目次
ペーパーバックを出版するメリット
個人的にペーパーバックを出版したほうが良いと考えるメリットは3つあります。
- 単純に紙で読みたい層の年配の方々にリーチできる
- 電子版の価格が相対的にお得に見える為、電子版だけよりも購買に繋がり易い
- 紙での本を出しているとまともな著作物にみえる
これらのメリットを享受するために、頑張ってペーパーバックを出版しました。
ペーパーバックへ出稿する為に原稿に加えた編集作業
紙版の出版に向けて、原稿に色々な編集をしました。
サイズの調整
Kindleのアプリの中では自分がユーザーが自分で解像度を変えれる為、本のサイズを意識する必要がなかったのですが、ペーパーバックではこれをしっかりと考慮する必要があります。
ペーパーバックでは、紙で出版する本のサイズである判型を指定できるのですが、これに合せて原稿を修正しました。
私はA5サイズである148 mm × 210 mmの判型を選んだので、これにあわせて原稿のWordファイルのサイズや余白の設定を更新しました。
ページ数とヘッダーの表示
Kindleでは解像度を変える事でページ数が変わる為に、ページ数も意識する必要がなかったのですが、ペーパーバックでは流石にページ数を入れたほうが良いと考えた為、Wordのフッター機能を使ってページ数を仕込むことにしました。
Wordのフッターは偶数と奇数でフッターの表示を変えられるので、奇数ページのときは左下に、偶数ページのときは右下にページ番号が来るように設定しました。
また、紙の本だと今どこを読んでいるかがわかりにくかったので、奇数ページのヘッダーに章題を表示し、フッターのページ数の横に項題を表示するように設定しました。
何故、このように設定したかと言うと、Kindleではページを開いた際に奇数ページが左、偶数ページが右になる為、見開きの2ページを1枚としてとらえた際に観易い為です。
目次の変更
目次についても、Kindleではページ数を意図的に書いていなかったのですが、ペーパーバック版ではきっちりとページ数についても掲載するようにしました。
余白の削除
ペーパーバック版では、ページ数が増えるほどにコストが増えていきます。あまり意味の無い余白はユーザーの為に削った方が良いと思ったので、余白を削りました。
具体的にはKindle版では、Instagram等などでのスクリーンショットを狙って常識の新陳代謝ポイントというのを1ページ使って表示し、見出しで1ページ、常識の新陳代謝ポイントで1ページとしていたのを1まとめにしました。
こうすることで、41ページほどページ数の削減が出来ました。
参考
41ページ分をカットしたら、コストが82円少なくなりました。
PDF化
ペーパーバック版は、電子版と異なり原稿を出稿する際の媒体がpdfのみに定められています。この為、原稿のWordファイルをPDFとして保存して出稿しました。
ペーパーバック向け表紙の作成
表紙はページ数に応じてサイズの微調整が必要
表紙の作成が割と手間でした。Kindle版だと表紙1枚を作ればよいのですが、ペーパーバック版だと表紙に加えて背表紙と裏表紙を繋げた一枚絵を用意する必要があります。
表紙が何故面倒かというと、先ほどご紹介した判型に加えて原稿のページ数に応じて、サイズを変えないといけない為です。
表紙作成はこの難易度が高い為、次のようなサイズとバーコード位置を表示してくれる「ペーパーバックの表紙テンプレート」が提供されております。こちらを元にCLIP STUDIOで適当に作成しました。
ちょっと説明が前後してしまうんですが、出版先のマーケットをAmazon.comにする場合、専用の表紙作成ツールが使えるので良い感じのお絵かきソフトを持っていない方はこちらを利用するといいかもしれません。
PDF化はWebサービスを用いて実施
原稿をPDF化する際に、JPEG等をMicrosoft Print to PDFなどを使うと、微妙に空白が削除されてしまって、入稿時にエラーになってしまいます。
これを防ぐ為に、私はこちらのページでJPEGからPDFにしました。
下の画像にあるように次の様に設定しました。
- 「ページ向きを選択」・・・横向き
- 「ページサイズ」・・・適合(画像と同じページサイズ)
- 「余白」・・・余白なし
PDFに変換が出来たらPDFのダウンロードをするだけです。
ペーパーバックへの出稿作業
「ペーパーバックの詳細情報」について
ここは、電子版とほとんど変える必要はありません。
注意ポイント
「言語」と「本のタイトル」、「サブタイトル」欄は、出版後に変更できなくなるため、これらを変更する可能性がある場合は注意しましょう。
「ペーパーバックのコンテンツ」について
注意ポイント
ペーパーバックのコンテンツの設定内容は、「裁ち落とし設定」と「ペーパーバックの表紙仕上げ」「原稿」「表紙」以外の設定は出版後に変更が出来ないくなります。ですので、出版前までにこちらはきちんと固めましょう。
印刷版ISBN
本を出版するにはISBN(International Standard Book Number)を付ける必要があります。特に個別の出版社と契約しているという場合でなければ、ここで無料のKDP ISBNを取得して割り当てます。
出版日
出版日はこちらで入力するものではないので、空欄にしておきます。
私の場合、出版に伴うレビューは半日以上の時間が掛かり、不備があると再度レビューを通す必要があったりで、なかなか狙った日付にするのは難しいと思います。
印刷オプション
インクと用紙のタイプ
インクと用紙で選ぶものによって、見栄えや印刷コストが変わってきます。印刷コストが見積もりたい方はこちらを参照すると良いです。
印刷コストの算出式
固定コスト + (ページ数 * 1 ページあたりの単価) = 印刷コスト
また、出版する本のジャンルによって合う合わないがあるようで、わたしはノンフィクション向けでオススメされていた「本文(白黒)用紙(白)」を選びました。
判型
先ほどご紹介したように、A5サイズである148 mm x 210 mmを選択しました。
裁ち落とし設定
こちらは特段の理由が無い限りは「裁ち落とし設定なし」でよいとのことなので、こちらを選びました。
ペーパーバックの表紙仕上げ
ノンフィクションの場合は光沢あり、フィクションの場合は光沢なしのほうが良いとのことでしたので、光沢ありを選択しました。
原稿
先ほども書きましたが、ペーパーバックの入稿可能なファイルはpdfのみです。pdf化した画像を入稿しました。
表紙
こちらはAmazon.co.jpとAmazon.comで作りが少し異なります。
Amazon.comは画像データをアップロードすることで、表紙を創れるWebシステムがあるので、表紙を作成する為のお絵描きソフトを持っていない場合はこちらを利用したほうが良いかもしれません。
本のプレビュー
ペーパーバックの出稿前には、電子版と違ってしっかりとプレビュー画面で出稿内容をレビューする必要があります。このプレビューは開くまで30分位かかったりするので、プレビューボタンを押したら他の事をしていたほうがよいかもしれません。
このタイミングでエラーが出る事が多く、品質チェックを通すのがなかなか大変でした。
品質チェックが終わったら、右下の承認ボタンを押下することで、続く価格設定へ進めます。
「ペーパーバックの価格設定」について
ペーパーバック版は出版コストが掛かり、またロイヤリティーが60%である為、価格とロイヤリティーの差がとても大きいです。
電子版と同じロイヤリティーをもらおうと設定しようものなら、電子版の倍以上の価格になってしまいます。
それはあまり良くなさそうだったので、ロイヤリティーは少ないのですが電子版の倍額にはならない程度に価格を色々と調整して設定しました。
校正刷りの依頼
ペーパーバックを出版する直前に、校正刷が出来ます。
折角なので実施してみましたが、日本語版と英語版それぞれ1冊ずつ印刷して、1冊あたり印刷コスト+配送料で1冊1,000円程度でした。
注文から2日位で届きました。実際に届いた校正刷がこちらです。
実際に本を読むと、図表の字が潰れている所や、見開きの印刷が想定と違うことがわかって良かったです。これをもって、再度原稿をアップして出版しました。
「ペーパーバックを出版」押下後の審査に掛かる時間
電子書籍版だと何もなければ、1時間もあれば審査が完了するのですが、ペーパーバック版だと半日以上の時間が掛かります。ですので、審査が終わるのを気長に待ちましょう。
ちなみにプレビュー機能でエラーなしの場合でも、この審査でひっかかる場合もあります。
審査が無事完了すると、次のようなメールが来ます。
そして、時間差がありますが出版していた本のページに、ペーパーバックのボタンが追加されます。
おわりに
今回は、ペーパーバックの出版にあたって実施した作業や設定内容をご紹介しました。
ブログの投稿記事を元に、Kindleで本を出版してみる(その14:表紙・キーワード等の見直し)へ続く
【2022/12/30追記】
頑張ってペーパーバックを出版しましたが、電子版と違ってすぐに出品状況を白紙に出来ないといったデメリットがあったり、1冊売れた時のロイヤリティーも電子に比べるとかなり低いのでやめる判断をしました。記念にはなったので満足はしてますが。
実際に出版した書籍がこちら
ブログ記事を元にしたKindle出版の記事一覧
ご閲覧ありがとうございました。
ではでは(^^)/