考えた

IAEAの深層防護フレームを用いて日本の原子力発電基準の現状を整理してみた

投稿日:

東日本大震災から8回目の3.11を迎えるにあたり、現状の原子力発電所の安全基準や対策状況がどうなっているかが気になったので、色々なWebの文献を漁って調査してみました。色々なWebの文献から漁ったので、そこまで情報が正しくないかもしれません。完璧ではありませんが、劇的に外れているわけでもないと自負しております。その程度の雰囲気で見て頂ければと思います。

IAEAの深層防護フレームを用いて日本の原子力発電基準の現状を整理してみた

色々な文献を探ってみたところ、国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)が定める深層防護という基準があることがわかりました。これに照らし合わせて、日本における3.11の東北大震災前後の状況と、世界の状況を対比して整理してみました。

深層防護とは:原子力発電所の安全基準

深層防護とは、5層に渡って安全対策を行う為の安全基準で、次の通りです。(※平成28年3月22日、NRA Japanの発行資料より引用)

レベル 分類 目的 必須の手段
第1層 プラント設計当初に関わる考え そもそも異常を生じさせない対策 自然現象を考慮した立地・設計、保守・運転の品質向上
第2層 プラント運転中に起こりうる異常がおきても事故に発展させない対策 監視・制御系統・設備を設置
第3層 設計上想定すべき事故が起きても炉心損傷等に至らせない対策 事故に応じた設備、対応手順書の整備
第4層 計基準外 設計上の想定を超える事故(シビアアクシデント)が起きても炉心損傷や格納容器破損を防止する対策 シビアアクシデント対策及び対応
第5層 緊急時の計画 放射性物質の放出による外部への影響を緩和するための対策 住民避難等による放射線防護対策、その事前準備としての避難計画の策定、充実・強化

それぞれのレベルにおける現状の比較を見ていきます。

第1層:自然現象を考慮した立地・設計、保守・運転の品質向上

建設対象地の判定

  • 3.11以前の日本・・・×:活断層を12~13万年前までさかのぼって調査
  • 現状の日本・・・:活断層を40万年前までさかのぼって調査
  • 海外・・・:活断層だけでなく、地すべり、褶曲地(地層が曲がりくねるように変形した場所)の有無もチェックされている。

⇒3.11後に改善はされていますが、海外のレベルには達していません。
個人的には、活断層の有無を判定にしているのもどうかと思います。昨今の地震は活断層の有無に関わらず発生しているからです。

使用済核燃料の廃棄方法

使用済核燃料の廃棄方法は、第1層に含めるべきではないかもしれませんが、一番ここが入れ易かったので比較します。

  • 3.11以前、現状の日本・・・:地下300メートルより深い地層に埋め込む地層処分
  • 海外・・・:地下450メートル(フィンランド)

⇒日本は海外に比べると地震が起きやすい地層です。地震において廃棄したはずの核燃料が漏れ出すなんてこともあり得ます。この環境下において廃棄方法を考えるのであれば、そもそも日本で使用済核燃料の廃棄は無理なのかもしれません。少なくとも海外よりも基準を上げるべきなように思います。

※参考:使用済核燃料の危険性

発電に使われた核燃料の放射能は使用前の1億倍に増えます。
ガラス固化体にした時点で放射能は少し下がりますがそれでも人が近づけば20秒で死亡するほど危険なものだそうです。

第2層:監視・制御系統・設備を設置

水素の排出手段の確保

  • 3.11以前の日本・・・×:水素の発生などで原子炉の格納容器の内圧が高くなることが想定できていなかった。
  • 現状の日本・・・:上記を考慮して、フィルター付きのベント(外に気体を放出する減圧用の装置)を取り付けるよう義務付けた。(中長期計画)
  • 海外・・・:欧米だと、格納容器ベントシステムが1980年代後半から1990年代後半までに設置された。

水素を放出する外にフィルターを放出する際に、フィルターの目詰まりなどが原因で水素爆発による危険性が考慮出来ていない、という考察をしている方もいらっしゃいました。その考慮も確かに必要だと思いました。

※参考:私が所属していた研究室も水素爆発を起こしました

水素は本当に危ない気体で、4%〜75%の濃度と種火があると爆発を引き起こします。私の所属していた研究室でも、水素充満と掃除機の電源が火種となり、大爆発が起きたことがあります。研究室の方々は隠ぺいしようと指示してましたが、直ぐに2チャンネルで情報が拡散されていたのはいい思い出です。
もう15年位前の話ですが。

メルトダウン(炉心溶融)対策:コアキャッチャーの導入

  • 3.11以前、現状の日本・・・×:コアマッチャーを導入していない
  • 海外・・・:導入している

コアキャッチャーとは事故の際、原子炉容器の底を突き破って溶け落ちた核燃料を受け止め、受け止めた核燃料を引き延ばすように広げて高温の燃料を冷やし、格納容器の外に漏れ出すのを防ぐ装置です。こうした装置がないと、東海村で原発事故が起きた時のように、バケツで汚染水を汲みあげる羽目になるそうです。

第3層:事故に応じた設備、対応手順書の整備

バックフィット制度

  • 3.11以前の日本・・・×:設置許可された原発に対してさかのぼって適用する(「バックフィット制度」といわれる)法的仕組みはなかった
  • 現状の日本・・・:上記を考慮して、バックフィット制度が制定された。

これは良い制度を制定したと思います。

第4層:シビアアクシデント(重大事故)対策及び対応

天災対策

  • 3.11以前の日本・・・×:洪水などの天災を考慮できておらず、事業者の自主性に任されてきた
  • 現状の日本・・・:天災を考慮し、洪水対策で防潮提や防潮壁の設置がなされた

これも完全ではないですが、前よりは改善してい良かったと思います。

テロ対策

  • 3.11以前の日本・・・×:テロとしての航空機の衝突への対策は想定していなかった
  • 現状の日本・・・:テロ対策として、F-4ファントム戦闘機が、エンジンを止めて、横から突っ込むという限定的な前提の元で問題ないとしている。上空からは無防備である為、亜人という漫画で佐藤が行った航空機をハイジャックしたアタックをすれば、簡単に原発を爆発させることができるらしい。
  • 海外・・・:米国では、2重の格納容器で、日本のような構造上の甘さはない。また、原発の警備も厳重で、各原発に150人規模の武装した戦闘部隊が24時間態勢で配置されている。机上での訓練のほかに、レーザー光線を用いた仮想の敵チームによる攻撃に対処できるかどうかの物理的な戦闘訓練が3年に1回、抜き打ちで実施されているという。

第5層:住民避難等による放射線防護対策、その事前準備としての避難計画の策定、充実・強化

避難対策

  • 3.11以前の日本、現状の日本・・・×:災害対策基本法では規制委員会は自治体任せになっており、対策が出来ていないところが多い。場所によっては、避難経路が1本しかない場所があり、被災時には避難が出来ない場所が多々存在する。そりゃ原発近隣の人もデモを起こすよな。。
  • 海外・・・:避難対策が出来ていない場所には原発は立てられない。ニューヨークのロングアイランド原発はこれで廃炉となった

放射能雲対策

  • 3.11以前の日本・・・×:未対策
  • 現状の日本・・・:放射能雲対策として、高圧ポンプ車を配備したが、放射能雲を緩和程度のモノになっている。

日本の原発の安全基準は世界より明確に低い

川内原発は再稼働しても本当に良かったのか

かつて、安倍首相が「日本の原発は世界一安全」といってましたが、ここまでの比較でそうではないことは明白です。また、定期検査で停止中であった九州電力川内原発1・2号機は世界で最も厳しい安全基準にのっとって審査した結果、再稼働となったらしいんですが、それってホントに良かったのか疑問です。

世界への原発セールスは失敗してよかった

2013年ごろ安倍晋三首相は「世界一安全な原子力発電の技術を提供できる」というセールストークで、世界に原子力発電所を売り込みにかかっていた。現状この多くの案件が、頓挫しているようで何よりだ。

イギリス:原発計画を凍結
リトアニア:中断状態
トルコ:予算の高騰で断念
ベトナム:ベトナム政府の財政難で計画中止
UAE:韓国勢に敗れ失注

まとめ

3.11に情報発信しようと思ってましたが、1か月かかって4.11になってしまいましたw情報が散乱しているのと、自分の知らない言葉が散見されて、中々難易度が高かったです。餅は餅屋ですね。。
情報収集している際に、平成28年3月22日、NRA Japanの発行資料をベースにして整理をしようと思ったんですが、この資料を作った人たちもどこから整理したらよいかの観点に悩んでいるのが垣間見れました。「原発再稼働在りき」で、そこに向けて理論が展開されているので、なるほどと思う考察もありました。が、曖昧にしている部分も多々あって、個人的には詭弁として見えました。記事の中で色んなページのリンクを貼ったので、皆さんも興味があれば、これらの記事を読んでみてください。

ご閲覧ありがとうございました。
ではでは(^^)/

-考えた

Translate »

Copyright© ぷーさんの閃考 , 2019 All Rights Reserved.