皆さんの中でドキュメントって書けない人っていないと思うんですよね。それは義務教育の中で日記を書いたり、作文を書いたりしてきたからです。だから、ドキュメントを作成する力が全くないって自負の人って余りいないと思います。この感覚を持ったまま、社会に出たときに自分ではそうと気づかずにわかりにくいドキュメントを作ってしまうコトって結構あると思います。その結果、先輩・上司にわかりにくいって言われて、むきになったり、困惑したりしてwドキュメントは作り手になってみてはじめてわかる難しさがあるんですよね。
今回はそういった状況に直面している方向けに、わかりやすいドキュメントはどんなもので、どうすればわかりやすいドキュメントを作成できるかといったテクニックをご紹介したいと思います。
こんな方におすすめ
- わかりやすいドキュメントを作りたい方
- ドキュメント作成の多い方
目次
わかりやすいドキュメントとは何か
さて、わかりやすいドキュメントを書く為に、まず「わかりやすい」、「ドキュメント」という言葉自身の定義を改める必要があります。
わかりやすいとは
「わかりやすい」というコトは情報が整理されており、要点が明確で、簡潔明瞭な状態です。
この為、読者は時間や労力を必要とせず、齟齬・誤解を産まず、記憶がしやすいです。
逆に「わかりにくい」というコトは情報が煩雑で、要点がわからず、複雑な状態です。
この為、読者に時間や労力を必要とし、齟齬・誤解を産み、記憶がしずらいです。
ドキュメントとは
次に「ドキュメント」とは何かですが、当たり前に考えると文書や図表で記載された書類です。
が、ここではドキュメントのわかりやすさを追求する為に、ドキュメントが持つ属性を6W1Hに要素分解して定義してみました。
ドキュメントの持つ属性
- WHY:特定の目的を達成する為に
- WHEH・WHERE:特定のタイミングや場所で用いられ
- WHO・WHOM:誰が誰に対して
- HOW:文字や図表を用いて
- WHAT:対象に関する思想・考え・仕様の内容を説明したモノ
上記の要素を把握していることが、わかりやすいドキュメントを作成する為の土台になります。そして、この土台に対して適切な表現を選択をするコトがわかりやすいドキュメントの前提条件になります。どういうコトかを要素毎に説明していきます。
WHY:目的
目的が不明瞭で整理されていないと、内容がどれだけ綺麗で整理されていたとしても、ドキュメントで伝えようとした状況は伝わりません。伝えたいコトはなんとなくわかるけど、何が言いたいかわからないみたいな状況を引き起こします。わかりやすいドキュメントを作成する為には、そのドキュメントの目的を明確にする必要があります。
WHEH・WHERE:特定のタイミングや場所で
いつ、どこで説明するかの想定が間違っていると結果として、読者にわかりにくいという認知を引き起こしてしまいます。場所・タイミングによって細かな説明が不要かもしれませんし、逆に細やかな説明が必要となる場合もあります。わかりやすいドキュメントを作成する為には、そのドキュメントがいつ、どこで使うドキュメントかを意識する必要があります。
WHO・WHOM:誰が誰に対して
誰が誰に対して説明するかのターゲットを外しても、わかりやすさがぼやけます。
例えば、業務提案として判断材料を求めている執行役員に対して、プログラミングの詳細コードを伝えてもアクションをとれません。
逆に、プログラマーに対して、大きな概念しかわからない内容を伝えても作業が出来ません。
また、万人をターゲットにした資料は、焦点がぼやけてしまい簡潔なドキュメントになりません。
HOW・WHAT:文字や図表を用いて、思想・考え・仕様の内容を説明したモノ
上記の要素を考慮した上で、情報を整理し、要点を明確にし、簡潔明瞭な状態に出来ているかが重要です。この為の方法として、文字や図表を用いて整理する為の技術をご紹介してます。
参考:ドキュメントの例
ドキュメントの要素の分解例を参考で上げてみました。
ドキュメント | WHY | WHEN | WHERE | WHOM | HOW | WHAT | |
目的 | いつ | どこで | 誰向け | 媒体 | どのように | 何を | |
議事録 | 認識のすり合せ | 打合せ後 | メール | 打合せ関係者 | 電子ファイル | 打合せアジェンダに沿って | 課題と結果 |
提案資料 | RFP※を満たす為 | 提案時 | 会議室 | RFP※提示者 | 配布紙 | 提案骨子に沿って | 提案内容 |
プレゼン資料 | 人を動かす為 | プレゼン時 | 会場 | 観客 | プロジェクター | プレゼンのストーリに沿って | プレゼン内容 |
設計書 | 正確に製造する為 | 製造時 | 製造環境 | 製造者 | 電子ファイル | 規約・観点に沿って | 製造物の仕様 |
操作マニュアル | 操作方法を伝える為 | 操作時 | 操作環境 | 操作者 | 印刷冊子 | 規約・観点に沿って | 操作方法 |
※RFP:Request For Proposal(提案依頼書)
文章や図表で情報を整理し、要点を明確にするコツ
文章の要点をまとめるコツ:見出しを付ける
文章の要点をわかりやすくするコツは見出しを付けることです。文章を書いたら、内容に見出しを付けてみましょう。見出しを付けるという行為は、いってみれば要約をすることです。見出しがあるか無いかで、人の頭へのインプットのされ易さが劇的に変わります。見出しを付ける事で、自分の頭の中の理解が促進されます。だまされたと思って、議事録でも設計書でも、プレゼン資料でもなんでも見出しを付けてみてください。
蛇足ですが、打合せ中にメモを取るときも、内容に見出しを付けていくと、理解が圧倒的に促進されます。理解が高まるとその応用として、打合せの中で他の人が気づけないニーズや課題に気付くコトが出来ます。このため、打合せ中に見出しをつけたメモを記載する習慣化のある人は、打合せの中での影響力や発言力が強くなります。打合せを上手くすすめられます。
情報を整理するコツ:図表の型を知る
情報を整理するのがうまい人は、情報を整理する枠の構造を作るのがうまい人です。枠や構造化が出来ると、意外とアイデアや考えはいくつも浮かんできて整理されます。情報の整理がうまくできるかどうかは、頭の良し悪しではなく、図表の型の定石を知っているかどうかという知識と、この定石を使って整理した経験の有無に関わってきます。
2軸思考について
汎用的な情報の整理の仕方として、2軸思考というものがありますので、簡単にご紹介しておきます。大体の表は2軸から構成されていて、4象限タイプ、マトリクスタイプ、グラフタイプの3種類に大別されます。
図表も知っているだけだと、あまり意味はありません。試しに使い、経験を積むことで活用が出来るようになります。
情報が整理された図表の効果
情報が整理された図表の効果はとても大きいです。文章や口頭でうまく伝えられない場合にも、図表で表現して伝えると一瞬で伝わることが多いです。
私は外資のコンサル企業で仕事をしていますが、出来る人っていうのは図表で絵を描くのがすごく上手です。図表を描くことで、自分の理解スピードを加速させ、また、他人への理解スピードも加速させます。
まとめ
わかりやすいドキュメントを作成するコツをまとめます。
まとめメモ
- わかりやすいドキュメントを作成する為には、何の為に(WHY)、いつ(WHEN)、どこで(WHERE)、誰が(WHO)、誰に対して(WHOM)扱うかが明確化されているコトが土台となる
- この土台に対して、適切な表現方法が選定されているコトが前提条件である
- 前提条件を満たした上で、情報の整理と文章の要約がされているコトが条件である
- 文章の要約には「見出しを付ける」コトが役に立つ
- 情報の整理には2軸で造れる構造・枠の定石が役に立つ
- 要約も整理も実践でしか身につかない
ご閲覧ありがとうございます。
ではでは(^^)/