あなたは"三方良し"や"八方良し"という言葉を聞いた事がありますか?
"三方良し"とは、江戸時代頃に産まれた近江商人の理念で、"売り手"と"買い手"と"世間"の三方が良くないと商いは続かないという考えです。この三方良しの考えは、江戸時代から平成の時代に至るまで、経営の常識として息づいております。
しかし、昨今はこの"三方良し"をさらに分解した、社会、地域、社員、取引先、顧客、経営者、株主、国の"八方良し"を満たすコトが求められてきています。
今回は独自の考えでこの八方良しがどう在るべきかについての考えをご紹介します。
常識の新陳代謝ポイント
旧常識
新常識
目次
令和の時代に繁栄する八方良しの企業
社会に良い
まずは、企業の存在目的として、社会にどんな貢献するかという目的が大事で、他の八方良しを支える根っこに当たります。
昭和、平成の時代においては、社会に対しての優先度としては"利便性(コンビニエンス)"を上げる事が最優先事項でした。しかし、令和の時代においては(平和の時代にも片鱗はありましたが)、利便性よりも、"継続性(サスティナビリティー)"の方が優先度が高まります。
今は表面化していない(あるいは見て見ぬふりをしている状況)ですが、10年後には冷たい現実として資源の枯渇や、環境破壊の影響が顕わになります。こういった状況になると、"継続性"を優先している企業や、無駄な生産や消費を避けたシェアリングやゼロエミッションが評価されるようになります。
逆に継続性を疎かにする企業に対しては、風当たりが厳しくなります。企業の事業継続性にも大いに影響するコトになってきます。
社員に良い
企業は社員に支えられますので、社員の待遇を如何によくするかどうかが重要であることを否定する人はあまりいないと思います。給与であるとか、社会保障、福利厚生等々これまでも色々と、社員に良いとされる制度が整備されてきました。
昨今はこれらの要素に加えて、働き方の自由や心理的安全性の担保なども求められてきており、何れも満たさないと、優秀な社員には選ばれなくなってきております。
働き方の自由
ICTが進展するコトで、色んな働き方の自由が社員に選択出来るようになりました。
取り分け、働く場所と時間については自由度が上がってきており、テレワークで自分の効率の良い時間にワークするという働き方が増えてきております。
GAFAやMicrosoftなどの名立たる企業だけでなく、様々な企業がこれらの自由を採用してきています。なので、これまでと同様のやり方を励行している企業の肩身は狭くなっていくでしょう。
心理的安全性の担保
これからの時代には、これまでの機械的な労働は、全てAIが代替してしまうコトになります。そして、残された人間にはクリエイティブなコトを追求していくことが求められます。その際に、心理的安全性の担保は、社員がパフォーマンスを発揮する為に重要な要素となってきております。
個人の言動を制限する圧力や、各種ハラスメントは撤廃され、円滑なコミュニケーションが出来る仕組みが求められます。
仕組み化と定量化
今紹介した内容以外にも、様々な工夫がなされる必要があります。重要なのは、これらの取組が個々人の努力ではなく、仕組みとして成り立つようにするコトです。仕組みなく、努力で為そうとするとハレーションが起きます。無理ゲーというやつになります。
また、これらの働き方の自由度や心理的安全性の度合いというのは、求職者や投資家にとって重要な判断材料となります。ですので、定量化・可視化されていく流れになり、経営者がコミットすべき指標となるのではないかと考えております。
地域に良い
働き方の自由として場所を選ぶ必要がなくなると、都市に住む必要性がなくなりローカライズ化が進みます。
また、環境問題にガチで取り組もうという話になると、物流は資源を大量に浪費し、環境汚染の主要因である為に、最小化しようという動きになります。この為、地域生産・地域消費を推進しようという動きが活発化なります。
これらの理由によって、会社の所在地や、自分が住んでいる地域に根差した活動をする事が、否が応でも求められるようになります。
取引先に良い
元請けから下請けへのパワーシフト
これまでは、自社のブランディングが弱い取引先は、元請け企業に食い物にされてきました。下請け法をはじめとする法で守られつつも。
しかし、ICTの進展によってEnd to Endで個別にマッチングが出来るようになる為、元請け会社や仲介会社を経由せずに下請け会社と取引するコトが出来るようになります。
そういった背景もあるので、取引先とこれまでの同様の搾取構造を維持することが困難になります。
取引先との関係を良好に保つ為には取引を開示する
そんな世の流れの中においても、仲介としてのビジネスやこれまでの商流のハブとして存在したいのであれば、"仕入れ値"や"粗利"を可視化するのがお勧めです。そんな馬鹿な!常識外れな!と思う方も居ると思いますが、実は仕入れ値と売値を開示して、自分達の実入りを開示することは、そうでない場合よりもメリットが多いのです。金銭の源泉足る信用を得る事が出来るのです。
これをより強固に証明する為には、ブロックチェーンの技術を用いると良いでしょう。ブロックチェーンの技術が持つ、可視性・改竄不可性が信用をより強固なモノにしてくれます。
顧客に良い
これまでの良いが積み上がっていれば、必然顧客に良いは実現されるようになります。
さらに"顧客に良い"を実現する為には、これまでの組織モデルからの変革が求められます。部署間に人を分けて、特定の業務だけ特化させるというやり方や、ヒエラルキーの深い上下構造があると、どうしても縦や横のコミュニケーションロスや不信が発生してしまいます。そこで起きるコミュニケーションロスや不信は、顧客にも伝播してしまいます。
この部署間や上下間の問題を解決する為には、今の組織モデルの常識から逸脱した、セパレーションなし、役職なしの自律分散組織であるティール組織への移行が最適です。まだまだ数が少ないモノの、特定の業界においてティール組織が出てきた際の事例をみると、顧客の評価はティール組織に軍配があがります。
真に企業を飛躍させたいのであれば、ティール組織化が勝ります。ただし、既存企業の多くはこの組織変革に耐えられません。正確には社員の多くが耐えられません。ティール組織の移行に成功した企業があったとしても、中の人間の多くが入れ替わる事が多いようです。
とはいえ、そのうちティール組織への移行の波が押し寄せる事になります。多くの企業の命題は、拡大であり事業継続性です。が、他の企業がティール化して、旧態を逸脱した働きやすさ、生産性、顧客へのサービスレベルを手にすると、必然この命題は達成できなくなる為です。淘汰されるのか変革するのか、その舵切の判断を求められることになるでしょう。
それが資本主義の終焉で在り、価値主義の幕開けなのです。
(ちょっと格好よく言ってみたくなったので、"終焉"とか"幕開け"という言葉を使いましたが、実際ははじまりと終わりは明確に区分けできませんw。既にはじまりつつあり、終りつつあります。)
経営者、株主、国に良い
ここまで書いてきて疲れてきたので、ざくっと纏めます。
以上の顧客良しの状態になれば、売上・利益があがり経営者に良く、株主に配当を回せ、国に税金を納められるようになり、八方良しになります。
まとめ
今回は、令和の時代に、企業が繁栄する八方良しについての考えを紹介してきましたが、如何でしたでしょうか?
- 経営者のあなた、自分の会社に損ねている方位はありませんか?
- 社員のあなた、自社で損ねている方位はありませんか?
- 投資家のあなた、投資先の銘柄企業は八方を満たしていそうですか?
いちど、自分の関わる企業の状況を、八方に照らし合わせて見直してみると良いと思います。
ということで、今回はここまでです。
ご閲覧ありがとうございました。
ではでは(^^)/